高齢者が腰痛で起き上がれないときに考えられる原因
「年齢のせいだから仕方ない」と考えてしまいがちですが、高齢者が腰痛で起き上がれない場合、その背景は一つとは限りません。筋肉や関節への負担だけでなく、骨や神経の問題が隠れているケースもあると言われています。特に突然動けなくなったときは、痛み方や脚の症状なども確認することが大切です。
ぎっくり腰(急性腰痛)による強い痛み
「朝起きようとしたら腰に激痛が走った」という場合、急性腰痛、いわゆるぎっくり腰が考えられます。急性腰痛では、ちょっとした動作をきっかけに強い痛みが生じ、動けなくなることもあると言われています。ただし、高齢者では骨折などが隠れている可能性もあるため、ぎっくり腰だと自己判断しないことが重要です。
引用元:済生会 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/acute_low_back_pain/
骨粗鬆症に伴う脊椎圧迫骨折
高齢者で気をつけたいのが、骨粗鬆症を背景とした脊椎の骨折です。「転んでいないから大丈夫」とは限りません。国立長寿医療研究センターでは、年齢とともに骨が弱くなると、通常の生活のなかでも骨折する場合があると紹介されています。起き上がると腰が強く痛む場合には注意が必要でしょう。
引用元:国立長寿医療研究センター https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/13.html
腰部脊柱管狭窄症による神経症状
「腰だけでなく脚もしびれる」「少し歩くとつらくなり、休むと楽になる」。こうした症状では、腰部脊柱管狭窄症が関係するケースもあると言われています。腰椎の変化によって神経が圧迫されると、お尻から脚にかけて痛みやしびれなどが現れることがあります。
引用元:東京科学大学病院 https://www.tmd.ac.jp/med/hbo7/tekiou.html
腰椎椎間板ヘルニアによる痛みやしびれ
腰椎椎間板ヘルニアでは、神経が圧迫されることで脚に痛みやしびれが生じる場合があると言われています。「腰痛だけだと思っていたけれど、最近は脚までしびれる」という変化があれば見逃さないようにしましょう。排尿や排便に異常がみられるケースもあるため、その場合は早めの医療機関への来院が必要です。
引用元:慶應義塾大学病院 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000169/
加齢による筋力・柔軟性の低下
年齢を重ねるにつれて筋力や柔軟性が低下すると、腰への負担が増えやすいと言われています。厚生労働省でも、高年齢者の腰痛には体幹筋力や柔軟性の低下などが関係するとしています。起き上がりや立ち上がりが以前より大変になった場合は、こうした体の変化も一つの要因として考える必要があります。
引用元:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000364585.pdf
腰以外の病気が腰痛として現れることもある
「腰が痛いなら、原因も腰にある」とは言い切れません。尿路結石では急な腰痛や腹痛、吐き気、冷や汗などが現れる場合があると言われています。 高齢者が突然起き上がれないほどの腰痛を訴えたときは、いつもの腰痛と決めつけず、全身の症状にも目を向けることが大切です。
引用元:済生会 https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/ureteral_calculus/
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高齢者が腰痛で起き上がれないときに確認したい危険な症状
高齢者が腰痛で起き上がれないとき、「少し休めば大丈夫かな」と様子を見たくなるかもしれません。ただ、腰痛のなかには骨折や神経の障害など、早めの確認が必要なケースもあると言われています。いつもの腰痛との違いを見逃さないためにも、次のような症状がないか確認してみましょう。
転倒や尻もちのあとから強く痛む
「尻もちをついただけだから」と考えていても、高齢者では注意が必要です。骨粗鬆症などで骨が弱くなっている場合、比較的軽い外力でも骨折することがあると言われています。転倒後に腰や背中の強い痛みがあり、自力で起き上がれない場合は、無理に立たせず医療機関への来院を検討しましょう。
引用元:日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/osteoporosis.html
安静にしていても強い痛みが続く
動いたときだけではなく、横になっていても強い腰痛が続く場合は注意したいところです。腰痛診療では、骨折や感染、腫瘍などの重篤な原因を見逃さないため、「危険信号」を確認することが重要と言われています。「寝ていればそのうち改善する」と決めつけず、普段とは違う強い痛みが続く場合は医療機関で相談してください。
引用元:日本脊椎脊髄病学会 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/guideline.pdf
足のしびれ・脱力・麻痺がある
「腰が痛いだけでなく、脚に力が入りにくい」という変化も見逃せません。腰の神経が圧迫される病気では、下肢の痛みやしびれなどの神経症状が現れることがあると言われています。特に急に脚が動かしにくくなった場合には、腰だけの問題と自己判断しないことが大切です。
引用元:慶應義塾大学病院 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000169/
排尿・排便に異常がみられる
腰痛や脚のしびれに加えて、「尿が出にくい」「排尿や排便の感覚がおかしい」といった症状がある場合は、より慎重な対応が必要です。神経が強く圧迫されたケースでは、排尿・排便障害を伴うことがあると言われています。このような変化が急に現れた場合は、早めに医療機関へ来院しましょう。
引用元:慶應義塾大学病院 KOMPAS https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000166/
発熱や体調不良を伴っている
腰痛と同時に発熱や強い倦怠感などがある場合、「腰を痛めただけ」と考えないことも大切です。腰痛診療では感染症なども重篤な原因として鑑別する必要があると言われています。特に高齢者では症状がはっきりしないケースもあるため、普段と違う体調変化がないかも確認しましょう。
引用元:日本脊椎脊髄病学会 https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/guideline.pdf
足の付け根が痛く立つ・歩くことができない
「腰が痛いと思っていたけれど、よく聞くと足の付け根も痛がっている」という場合もあります。高齢者に多い大腿骨頸部骨折では、股関節周辺に痛みが生じ、立ったり歩いたりできなくなることが多いと言われています。転倒後にこうした状態がみられたら、無理に歩かせないようにしてください。
引用元:日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/femoral_neck_fracture.html
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腰痛で起き上がれない高齢者の正しい対処法
高齢者が腰痛で起き上がれないと、「とにかく起こしてあげよう」と考えるかもしれません。しかし、強い痛みがあるときに無理に体を動かすのは避けたほうがよい場合があります。特に転倒後や、脚の麻痺・排尿排便の異常などを伴う場合は、まず医療機関への相談を優先しましょう。
無理に起こしたり歩かせたりしない
「少し歩けば楽になるかも」と無理に立たせるのは注意が必要です。転倒後など骨折が疑われる場合、日本赤十字社では患部を動かさず、速やかに医療機関へ相談することが大切だと紹介しています。起き上がれないほど痛むときは、本人の状態を確認しながら慎重に対応しましょう。
引用元:日本赤十字社 https://www.jrc.or.jp/about/publication/news/202602_tokusyu.html
まず痛みが少ない姿勢をとる
「どんな姿勢で休ませればいい?」と迷うこともあるでしょう。日本赤十字社では、意識がある傷病者について、本人に聞いて最も楽な体位にするとしています。無理に姿勢を整えようとせず、痛みが強くならない位置を探すことがポイントです。
引用元:日本赤十字社 https://www.jrc.or.jp/study/safety/rest/
急性期に避けたい動作と注意点
強い腰痛があるときは、勢いよく起きる、腰をひねる、家族が一人で抱え上げるといった動作は避けたいところです。厚生労働省の資料でも、起き上がれない人を介助するときは、持ち上げる方法を避け、ベッドの機能などを活用する方法が紹介されています。
引用元:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002shqg-att/2r9852000002shz0.pdf
長期間の寝たきりにも注意する
一方で、「腰痛ならずっと寝ていたほうがいい」とも限りません。腰痛診療ガイドラインでは、腰痛に対して安静より活動性を維持することが有用かという観点も検討されています。原因や痛みの程度によって対応は異なるため、危険な病気が否定されたあとは、医師などに確認しながら無理のない範囲で日常生活へ戻していくことが大切です。
引用元:Mindsガイドラインライブラリ https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00498/
家族が介助するときに気をつけること
家族が介助するときも、「力いっぱい抱き起こせばいい」というわけではありません。高齢者介護では、人を抱え上げたり、腰をひねった状態で介助したりすることを避け、本人の状態に合わせた方法を選ぶことが重要だと言われています。本人だけでなく、介助する家族の腰を守る意味でも無理は禁物です。
引用元:厚生労働省・熊本労働局 https://jsite.mhlw.go.jp/kumamoto-roudoukyoku/content/contents/001179223.pdf
痛み止めや湿布を使用するときの注意点
「いつもの痛み止めを飲めば大丈夫」と自己判断するのも注意したいところです。厚生労働省では、高齢者にNSAIDsを使用する場合、腎機能障害や消化管出血などのリスクを考慮し、慎重に使用する必要があるとしています。ほかの薬を服用している方もいるため、薬剤師や医師に確認してから使用するのがおすすめです。
引用元:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/11125000/000705384.pdf
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腰に負担をかけにくい起き上がり方と再発予防
高齢者が腰痛で起き上がれないときは、「勢いをつければ起きられる」と無理をするのは避けたいところです。起き上がる順番を少し工夫するだけでも、腰にかかる負担を抑えやすくなります。ただし、強い痛みや脚の麻痺、転倒後の痛みなどがある場合は、無理に起き上がろうとせず医療機関への相談を優先してください。
仰向けから直接起き上がらず横向きになる
「腹筋を使って、そのまま起きればいいのでは?」と思うかもしれませんが、腰痛があると難しい場合があります。ベッドから起きる際は、まず横向きになり、脚をベッドの外へ出しながら上半身を起こす方法が紹介されています。腰を大きくひねらず、ゆっくり動くことを意識しましょう。 (hosp.juntendo.ac.jp)
引用元:順天堂大学医学部附属順天堂医院 https://hosp.juntendo.ac.jp/clinic/department/seikei/
腕で体を支えながら上半身を起こす
横向きになったあとは、腕や肘を使って体を支えながら上半身を起こすと、腰だけに力を集中させにくくなります。「一気に起きる」のではなく、横向きになる、脚を下ろす、腕で支えるという流れで動くのがポイントです。痛みが増す場合は、その動作を無理に続けないようにしましょう。 (japanpt.or.jp)
引用元:日本理学療法士協会 https://www.japanpt.or.jp/about_pt/therapy/tools/handbook/
ベッドから立ち上がるときのポイント
「座れたから、すぐ立とう」と焦る必要はありません。高齢者では立ち上がった際に血圧が下がり、めまいやふらつきが起こる場合があると言われています。まずベッドの端で座り、体調を確認してから立つようにしましょう。必要に応じて手すりなどを活用し、転倒を防ぐことも大切です。 (ncgg.go.jp)
引用元:国立長寿医療研究センター https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/23.html
痛みが落ち着いてから少しずつ活動量を戻す
腰痛があると、「また痛くなったら怖いから動かないでおこう」と考えてしまいますよね。ただ、腰痛では必要以上の安静を続けるより、状態に合わせて活動性を保つことが重要と言われています。原因を確認したうえで、まずは日常生活のなかで無理なく動ける範囲から戻していきましょう。 (minds.jcqhc.or.jp)
引用元:Mindsガイドラインライブラリ https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00498/
筋力低下を防ぐための日常生活の工夫
高齢になると筋肉量や筋力が低下しやすく、立つ、歩くといった動作にも影響することがあると言われています。「運動しなければ」と急に頑張るのではなく、散歩や立ち座りなど、その人の状態に合った活動を続けることが大切です。痛みがある場合は無理をせず、専門家に相談しながら進めてください。 (e-healthnet.mhlw.go.jp)
引用元:厚生労働省 e-ヘルスネット https://e-healthnet.mhlw.go.jp/
転倒と骨粗鬆症への対策も考える
腰痛の再発予防を考えるなら、転倒や骨粗鬆症にも目を向けたいところです。骨粗鬆症では骨が弱くなり、転倒などをきっかけに骨折しやすくなると言われています。室内の段差や滑りやすい場所を見直すことに加え、必要に応じて骨密度などについて医療機関へ相談することも、高齢者の生活を守るうえで大切です。 (josteo.com)
引用元:日本骨粗鬆症学会 https://www.josteo.com/ja/guideline/
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高齢者が腰痛で起き上がれないときの病院来院の目安
「何日くらい様子を見てもいいの?」と迷う方は少なくありません。ただ、高齢者の腰痛では、骨折や神経の障害などが隠れている場合もあると言われています。特に起き上がれないほど痛みが強い場合は、我慢を続けるのではなく、症状の出方を確認して医療機関への来院を検討することが大切です。
突然起き上がれないほどの腰痛が出た場合
突然の強い腰痛は、一般的にぎっくり腰と呼ばれる状態でも起こります。一方で、骨折や感染など別の原因が隠れているケースもあると言われています。「いつもの腰痛だろう」と決めつけず、これまで経験したことがないほど痛む、動くことが難しいといった場合は、整形外科などへの来院を検討しましょう。
引用元:日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/acute_low_back.html
転倒していなくても圧迫骨折に注意が必要な理由
「転んでいないから骨折ではない」とは限りません。骨粗鬆症によって骨が弱くなっている場合、比較的弱い外力でも脊椎椎体骨折が起こることがあると言われています。高齢者では痛みが軽いケースもあるため、急に腰が痛くなった、起き上がると強く痛むといった変化があれば注意しましょう。
引用元:日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/vertebral_compression_fracture.html
すぐに医療機関へ相談したい症状
腰痛だけでなく、「脚がしびれて力が入らない」「尿が漏れる」「安静にしていても痛みが軽くならない」「発熱している」といった症状がある場合は注意が必要と言われています。特に脚の麻痺や排尿・排便の異常が急に現れた場合は、様子を見続けず、速やかに医療機関へ相談してください。
引用元:日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/lumbago.html
腰痛は何科に来院すればよい?
「腰痛なら、どこへ行けばいい?」と迷った場合、骨や関節、神経など運動器の状態を確認する診療科は整形外科です。特に転倒後に立てない、腰や股関節周辺に強い痛みがある場合は、骨折の有無を確認する必要があります。高齢者では軽い転倒でも大腿骨頸部骨折が起こることがあると言われています。
引用元:日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/femoral_neck_fracture.html
整形外科で行われる主な検査
整形外科では症状や状態に応じて、X線やMRI、CTなどの画像検査が検討されます。脊椎椎体骨折ではX線検査が基本となり、骨折の状態や神経への影響によってCTやMRIが必要になる場合もあると言われています。高齢者では骨粗鬆症が疑われると、骨密度を確認することもあります。
引用元:慶應義塾大学病院 https://kompas.hosp.keio.ac.jp/disease/000162/
痛みが軽くなっても繰り返す場合は原因を確認する
「今回は動けるようになったから大丈夫」と考えてしまうこともあるでしょう。ただ、高齢者では脊椎圧迫骨折や骨粗鬆症、腰部脊柱管狭窄症など、移動能力に影響する病気や状態がみられると言われています。腰痛を何度も繰り返す、歩きにくくなった、以前より立ち上がりにくいと感じる場合は、一度原因を確認しておくことが大切です。
引用元:日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/media/locomo/mads.html
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監修者みやがわ整骨院 院長 宮川 晃司 |








